Our Story

フロレス島のハチミツを輸入する理由

私の人生を変えた、1人のインドネシア人

 

2014年。私は休暇で訪れたバリ島で、観光ガイドをしていた青年、ジャマルディン(Jamaludin)と出会いました。年齢が近かったせいか、出会ってすぐに意気投合した私たちは、毎晩一緒に食事をしたり、バリ島の美しさを堪能する時間を共に過ごしたりしました。 その後、彼が私の人生のキーマンになることなど知りもせず。 2014年以降、バリ島に魅せられた私は、毎年彼の地を訪れました。ジャマルディンはいつも私を温かく迎えてくれ、親交は深まっていきました。 2017年。ジャマルディンが何気なく「僕の実家に遊びに来ないか?」と誘ってくれました。彼の実家があるのが、フロレス島でした。私はこの年に初めてフロレス島を訪れ、この島の澄んだ海や緑深い山々の美しさに、すっかり虜になりました。バリ島とまた違った自然の豊かさがある島です。ジャマルディンは、私を家族や友人に紹介してくれました。 そこで私は「ハニーハント」の存在を知るのです。

初めてのハニーハントは驚きの連続

 

ハニーハントの話をされて、「見てみたい!」と答えたときは、とても軽い好奇心でした。「いいよ」と答えてくれたのは、山仕事をしているジャマルディンのおじさん。ハチミツの採取方法や、ハチミツの味わいについても話をしてくれました。特にハチミツの味については、「ここのハチミツは天然のものだから、今まで食べたことがないものだと思うよ。本物だよ。」と聞かされ、気持ちが高ぶりました。 いざハチミツを獲りに行くとなった際に、おじさんは半袖半ズボンなのに、私には長袖長ズボンを着るように指示し、バイクのフルフェイスヘルメットを渡されたときには、「あれ?簡単にハントを見たいとか、言わなければ良かったかな?」と、不安がよぎったのも事実です。その後、ハチの巣を切り落とすナイフ、ハチミツを入れる容器、煙を起こしてハチをいぶすためのココナッツの皮など、ハントに行くための準備をして、おじさん、ジャマルディン、ジャマルディンの2人のいとこ、私の5人でいざ出発。 山道を1時間ほど歩き、いつまで歩くのかな……と思い始めたそのとき、「あそこだ」とおじさんの声が。見ると、木の根元には全長1mを超える、ものすごく大きなハチの巣。そして低い羽音をたてながらその巣を埋め尽くす何万匹ものハチたち。私は思わず、今までの息苦しさを忘れて、フルフェイスヘルメットをしっかりとかぶり、そこからゆっくりと離れました。 おじさんは準備していたココナッツの皮に器用に火をつけると、煙でハチたちをいぶし始めます。ハチたちが逃げたあと、おじさんはナイフでざっくりと巣を切り取って私に差し出しました。蜜のしたたる巣を受け取り、ハチミツを口に含んだ瞬間、あまりの美味しさに驚きと感動を覚えました。そんな私を見て、ジャマルディンが「ハニーハントで生計を経てて暮らしている村の人たちがいるらしいよ」と教えてくれました。

ハニーハンターたちの神業に息をのむ

 

翌2018年、初めてハンターたちが暮らしている村へ。 道のりはまさに道なき道。山道で何度も車が横滑りをして、「あわや!」が数えきれないほど。ジャマルディンが住んでいる村から5時間かけてやっとハンターたちが住む村に辿り着くと、村の人々は、初めて会う外国人の私を快く受け入れてくれました。 そして、いよいよハニーハントを見学することに。お昼過ぎに、ハンターたちの村から裏山へ出発。私を含めて8人で向かいました。険しい山道を、みんなでハチミツを獲る道具やキープするための入れ物を担いで歩きます。 2時間ほど歩き、そこには1本のそびえ立つ大木が。その大木を見上げると、大小20個ほどのハチの巣がついていました。初めて見るたくさんのハチの巣は圧巻で、感動的でした。それと同時に、万が一、襲われたらと考えると、ゾクリと恐怖心も湧いてきました。 その後、すぐにハントに向けての準備を開始。辺りがだんだんと暗くなり、ハンターたちの間に緊張感が漂います。準備がひと段落した頃、「あんな高いところにどうやって」と思う私をよそに、ハンターは命綱もつけずにスルスルと木に登っていきます。下では仲間が巣を受け取る準備。抜群のチームワークと手際の良さで巣を採取していきました。 ハンターたちは全ての巣を採るわけではありません。巣のサイズや蜜の溜まり具合、成熟度やハチたちの状態を見ながら採る巣を選定します。 目の前で繰り広げられている採取の光景は、日本人の私にはとても非現実的でした。しかし、その様子にすっかり魅了された私はじっと見入っていたのです。 夜明けまでにハントを終えて、みんなで少し休憩した後に村へ戻りました。

迎え入れてくれた人々に報いたい

 

私はすっかりハニーハントや村の人たちに魅了されていました。 ハンターたちは私を仲間として歓迎してくれ、一緒にごはんを食べたり、村を案内してくれたり、自宅に招待してくれたりしました。素直に嬉しくて、何かの形で恩返しがしたいと思い、そこで決心したのが、日本でのハチミツの販売でした。 様々な縁で出会ったこのハチミツ。日本の皆様にもこのハチミツをお伝えしたいのです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 ジャマルディンとの出会いからつながるこのお話は、ここからがスタートです。 よろしければ、ハンターたちのハチミツを手に取り、続きを一緒に紡いでください。

▶屋号に込めた想い
Asli(アスリ)はインドネシア語で「本物・天然・オリジナル」を意味します。 私がフロレス島から日本に届けたいもの、そのものです。